2020年6月26日
NYに住む伯父・トレヴァーの書斎で一冊の手記を見つけたジーン。
そこには、自分ではない「ジーン」について綴られていた。
……1973年。弁護士のトレヴァーは重要な書類を紛失する。
雪が降りしきる中、それを届けてくれたのは清掃員していたジーンだった。
ボイラー室で暮らしているという、見るからにみすぼらしい彼を放っておけず、
トレヴァーはお礼も兼ねてハウスキーパーをしないかと持ちかける。
まるで中世からやってきたような世慣れなさに反し、
教養を感じさせる美しい元アーミッシュの青年ジーンとの同居生活は、
ゲイであるトレヴァーに羨望と穏やかな幸せをもたらすが……。
大ヒット作『ラムスプリンガの情景』へとつながる、もう一つの愛の物語。
※「親愛なるジーンへ」1巻表紙裏あらすじ参照
吾妻香夜先生の描く、故郷への想いや恋することの重さを描いたせつないBL漫画「親愛なるジーンへ」1巻を読みました!

これはものすごく深くて心が揺さぶられる作品…
読んだ時、すごい作品に出会ってしまった…と感動しました!
私のベストBL漫画上位に入る素晴らしい作品です!!!
それでは「親愛なるジーンへ」1巻のあらすじやネタバレ、感想レビューをご紹介していきますね!
「親愛なるジーンへ」1巻のざっくりあらすじ
まずは「親愛なるジーンへ」1巻のざっくりあらすじを紹介していきますね!
「親愛なるジーンへ」は「ラムスプリンガの情景」のスピンオフ漫画ではありますが、単体で読んでも問題なく楽しめる作品となっています。
15歳のジーンは夏のバカンスに叔父のトレヴァーの家でハウスキーパーを任されることに。
トレヴァーの書斎でジーンはある手記を発見する。
その手記には自分が生まれる以前の、自分ではない「ジーン」という青年との日々が綴られていて…
弁護士のトレヴァーはある日大事な書類を落としてしまい、それを拾ってくれたジーンに出会う。
雪の降る日に家もなく、みすぼらしい恰好をしたジーンをトレヴァーは拾い、ハウスキーパーとして雇うことに。
ジーンは物覚えも早く、その暮らしにすぐ順応していくものの、故郷が忘れられない様子で…
そこでジーンが実は元アーミッシュなことを知るトレヴァー。
ジーンはアーミッシュという故郷を忘れ、新しい人生を歩もうとする。
そんな中、トレヴァーとジーンは次第に惹かれ合っていき、お互いが大切な存在へと変化していく。
エロシーンはありますが、そこまで多くはありません。
だけどしっかりとした描写にはなるので、そういった意味では読みごたえバッチリ。
元アーミッシュという設定がポイントになる作品。
ジーンだけじゃなく、トレヴァーにも故郷に対する想いがあり、2人の故郷を捨て切れないせつない想いが心に響きます!
「親愛なるジーンへ」1巻のネタバレ
ここからは「親愛なるジーンへ」1巻のネタバレに入りますのでご注意ください!

15歳のジーンは夏休みに1人でニューヨークへバカンスに行くことを両親に勧められる。
喜んだのも束の間、滞在先が叔父のトレヴァーの家だと伝えられ、嫌な顔をしてしまう。
いつも仏頂面で何を考えているか分からないトレヴァーのことがジーンは苦手なんです。
しかもトレヴァーの家の書斎を片付けるという役目まで負わされてしまい、ジーンは嫌々トレヴァーの家のハウスキーパーのようなことをするはめに。
しぶしぶトレヴァーの家の書斎を片付けていると、ジーンはトレヴァーの手記を見つけてしまう。
その中には自分ではない「ジーン」のことばかりが綴られていて…
日付は自分の生まれる以前。
ジーンはつい気になってその手記の内容をじっくりと読むことにするんです。
ここからメインのトレヴァーとジーンのお話に入ります…!
1973年、トレヴァーはニューヨークで親権を巡る裁判の弁護を務めていた。
仕事帰り、トレヴァーはその裁判に必要な重要な書類を失くしたことに気付き、公園で絶望に沈んでしまう。
今まで完璧に過ごしてきただけに、その失態にかなり落ち込んでしまうんですよね。
人生終わった…とまで考えて顔を埋めるトレヴァー。
するとある青年がその書類を持って現れて…
書類を渡してすぐに立ち去ろうとする青年をトレヴァーは引き止める。
あまりにもみすぼらしい恰好で、雪が降りしきる中、家がないと言う。
トレヴァーはお礼の代わりに自宅へ招待することに。
シャワーを浴びさせて、食事をご馳走し、トレヴァーは、書類を拾ってなぜ会社に届けずに直接自分を探したのかを問います。
すると青年は、「人に知られない方が貴方に都合が良いのでは」と答えるんです。

重要な書類を失くしたことを会社に知られるとトレヴァーの立場が危ういですもんね。
そこまで考えての行動だったんです。
それを聞いて、トレヴァーはその青年・ジーンに住み込みのハウスキーパーを頼まれてくれないかと提案する。
ジーンを信頼に足る人物だと感じたんですよね。
これからのニューヨークはより冬の厳しい季節になっていて、家のないジーンはありがたくその提案を受け入れることに。
久しぶりの温かい寝床にジーンはふるさとを思い出し、涙を浮かべるんです。
部屋も段々と片付いてきて、ハウスキーパーの仕事を順調にこなすジーン。
トレヴァーは書斎整理の際に気に入った本があれば読んでもいい、とジーンに話し、ジーンはその言葉にとても喜ぶ。
故郷では聖書以外の本を読むことは禁止されていたんですよね。
トレヴァーから見てジーンは不思議な青年で、家電製品全般の使い方をほとんど知らなかったんです。
かといって全く教養がないようには見えず、他人の心の機微に聡い人間だとうかがい知ることができます。

ジーンに対しての謎が深まります…
当初家の片付けを中心にハウスキーパーとして雇っており、その片付けも終盤を迎えるにあたって、トレヴァーはジーンへの給金を日当にしようと思い当たります。
それはジーンがいつ思い立って出て行ってもいいようにと考えてのことなんです。
ジーンは書斎の片付けを進めており、そんな中である小説を見つけます。
気になって読んでみると内容は恋愛もので、男女の濡れ場が描かれていて…
ジーンは興奮してきてしまい、自慰をし始めるんです。
そして妄想の中でなぜかトレヴァーが出てきてしまい…?
トレヴァーが優しく自分を触るところを想像してジーンの興奮は絶頂を迎え…!
ちょうどその時トレヴァーが書斎へ入ってくるんです。

タイミング最悪ですよね(笑)
そしてトレヴァーの目の前でイってしまうジーン…
ジーンは恥ずかしさのあまりその部屋の窓から出て行こうとしますが、慌てて引き止めるトレヴァー。
ジーンは何も考えていなかったのですが、実はその部屋は1階ではないので、窓から出ると死ぬことになるんですよね(笑)
その後ジーンは自慰をしていたことをトレヴァーに謝ります。
涙を流して後悔している様子のジーンに、トレヴァーは自慰くらい誰でもすると言って慰めるんです。
そしてジーンは、自分がアーミッシュの出身だと打ち明けます。
三百年前の暮らしを続け、清貧を貫く敬虔なキリスト教徒。
思春期に入るとラムスプリンガという戒律から自由になれる期間に入る。
ラムスプリンガの後、アーミッシュとして生きるため洗礼を受けるか、俗世で生きるため家族と決別するかを選ぶ
ジーンはラムスプリンガの後、俗世で生きる選択をしたんですよね。
だから故郷に帰ることができないと言うジーンに、トレヴァーは「故郷を恋しがっているように見える」と伝えます。
帰ってもいいんだ、とさとすトレヴァーにジーンは
「僕のこと何も知らないくせに口出ししないで!!!!」
と強く言い放ちます。
トレヴァーは故郷を想うジーンに、羨望の気持ちを抱いていたんですよね。
トレヴァーには故郷に対して憧れのようなものがあって…
そして翌日、ジーンはトレヴァーに対して気持ちをむき出しにしたことを後悔します。
部屋の片付けもほぼ終わり、あと少し書斎を片付けたらこの家を出ようと思い、書斎を開けるとそこはすでに片付いていて…
そして机の上にはリボンのかかった観葉植物に手紙が添えられていて…
そこにはこれからも共にいてほしいというトレヴァーの気持ちが綴られているんです。
ただいま、と言って帰ってきたトレヴァーに抱きつき、「おかえり!トレヴァー!!」と嬉しそうに伝えるジーン。
2人の距離は縮まり、そこから2人の生活が始まるんですよね!

2人の暮らしは順調で、何気ない日常を過ごす毎日。
でもトレヴァーはあきらかにジーンに惹かれていて…
それはジーンを初めて見た時から始まっていた感情。
そしてジーンもまた、トレヴァーを意識していることは明らかだったが、それは親愛という感情なのだろうとトレヴァーは感じていたんです。
大学というものに興味を持っている様子のジーンに、トレヴァーはコミュニティ・カレッジに行くことを提案します。
公立の二年制大学のことです。
その地域の人ができるだけ安価で教育を受けられるよう設立された大学。
学費が安く、入学難度も低いのが特徴。
「望めば誰でも」をモットーとしている教育機関。
ある日ジーンが外出から戻ると、そこにはカレンというトレヴァーの元婚約者が。
カレンはトレヴァーの元に置いていた自分の書いた小説を引き取りにきていたんですよね。
そしてその小説のファンだと名乗ったジーンとカレンは仲良くなり、2人で食事に出掛けることに。
そこでカレンは、気難しいトレヴァーが半年もジーンと一緒に暮らしているということは、つまり「そういうこと」だと告げます。
昔トレヴァーの顧客として知り合ったカレン。
正反対の性格の2人は友人になり、やがて恋人になり、そして結婚を考えていたんですが、カレンは自然と分かってくるんです。
『ああ この人は男の人を好きになる男の人だ』
そう気付いたカレンは、それでも自分と結婚していいのかとトレヴァーに訊ねます。
「カレン 私はきみの前では普通でいられる きみと一緒に居る私はこの世界でようやく一般人になれるんだ」
そう答えたトレヴァーに対し、カレンの想いは恋愛ではなく親愛が強いということに気付き、2人は別れることに。
ずっとどこか自分を騙して生きているトレヴァー。

ありのままの自分を受け入れられないトレヴァーがせつない…
カレンはトレヴァーに、本当の意味で幸せになって欲しかったんですよね。
そんなカレンの話を聞き、ジーンはトレヴァーに想いを馳せる。
その後もジーンの生活は順調そのものだったんですが、時折故郷を懐かしんでしまい、せつない感情があふれ出るんです。
美しい故郷の思い出は、ジーンにとって忘れたくても忘れられないものなんですよね。

大学に通い始めたジーンは問題なく学校生活を送っていて、知り合いに勧められて始めたモデルのバイトも順調。
入学と就職祝いだと言って、トレヴァーはジーンを連れて食事に出掛けます。
その先で客の1人が大きな声でゲイに対して文句を言っているのが聞こえて、ジーンは思わずその客の元へと近寄る。
何か言い出しそうなジーンをトレヴァーは制し、その客に、ジーンの親友がゲイなので思わず立ち上がってしまったのだと説明します。
そして席に戻り、トレヴァーは自分のことを気にしてそういった行動を取ったのだろうと推測します。
トレヴァーは自分がゲイであることをジーンは知っていると理解しているんですよね。
「言わずにいて悪かった」と言い、きみに手を出さないと告げます。
その後飲めないにも関わらず酒を煽ったトレヴァーはすっかり酔いつぶれてしまい、ジーンは担いでタクシーに乗り込みます。
そこでジーンは、トレヴァーの家族について聞きたいと話します。
捨て子だったトレヴァーは、幸いにも良い人に拾われ、優しい夫婦に引き取られます。
その7年後彼らは実子を授かり、トレヴァーはその弟と共に大切に育てられたんです。
トレヴァーはそのことに恩を感じていて、恩を返したいと思っているんですよね。
幸せな家庭で育ったものの、トレヴァーは幼い頃から自分には血の繋がりがないことを意識していて、どこか疎外感を感じていたんです。
そのことに寂しさを感じると共に、自分の恵まれた境遇に感謝もしていて、それはとても矛盾した複雑な感情なんです。
トレヴァーもジーン同様、故郷に対してしこりのようなものを感じているんですね。
トレヴァーが目を覚ますとそこは自宅のベッドの上。
酔いつぶれていたのをジーンが連れて帰ってくれたんです。
おやすみなさい、と言って出て行ったジーンだったんですが、再度トレヴァーの部屋に戻り、ジーンはおもむろに服を脱ぎ…
そしてトレヴァーに覆いかぶさるんです。

キスをしようと迫るジーンを、必死になって避けるトレヴァー。
逃げるトレヴァーに、ジーンは「貴方が僕をどういうふうに見ているか」分かると伝えます。
トレヴァーはジーンへの想いを認めた上で、ジーンを拒否し、今日のことは忘れようと言います。
そんなトレヴァーにジーンは、故郷の言葉で話し始めます。
自分が故郷を捨ててしまえる身勝手な人間であること、そしてトレヴァーはそんな自分を拾い上げてくれたということ。
「あなたが僕の神様です」
トレヴァーに跪き、そう告げたジーン。

ジーンの瞳はとても澄んでいて想いが伝わってきます…
その言葉はトレヴァーには分からない言語だったけれど、トレヴァーはまっすぐに想いを告げるジーンにキスをして抱き寄せるんです。
ベッドでジーンの服を脱がし、愛し始めるトレヴァー。
優しく事を進めるものの、ジーンを気遣う様子のトレヴァーに、ジーンは
「僕を怖がらないで」
と言って先を促します。
体を繋げ、興奮しつつもジーンの体を気にするトレヴァー。
「優しすぎるくらいだよ…」
そう言ったジーンにトレヴァーはたまらなくなってジーンを抱きしめます。
行為を終え、トレヴァーはふと幼い日の出来事を思い出します。
血の繋がらない家族に距離を感じてひとりぼっちでいたトレヴァー。
だけど家族はそんなトレヴァーに手を差し伸べ、こっちへ来るようにと家族の輪に呼びます。
そんな温かさに涙が溢れるトレヴァーに、母親は
「愛しいトレヴァー あなたは私たちの神さまよ…」
と告げるんです。
その時のことを思い出し、トレヴァーは泣きじゃくってしまう。
そんなトレヴァーを見て、ジーンは後ろからトレヴァーを優しく抱きしめるんです。
「親愛なるジーンへ」1巻の感想レビュー
「親愛なるジーンへ」1巻は故郷への想いがせつなくて、2人のゆっくりと惹かれ合う様子がキュンとする作品でした!
トレヴァーの甥っ子が「ジーン」という名前だというところがまた奥深そうな感じ。
甥っ子ジーンが読む、トレヴァーとジーンの物語、という設定がなんだかステキなんです。
トレヴァーはジーンと出会うまでは本当の自分をさらけ出せない大人なんですよね。
そんなトレヴァーが、ジーンと出会い一緒に生活をしていく中でどんどん変わっていくわけです。
雪の降りしきる中で孤独に生きようとしていたジーンも、トレヴァーに拾われてどんどん人生が変わっていくんですよね。
私は「親愛なるジーンへ」を読むまでアーミッシュを知りませんでした。
アーミッシュとして生まれたジーンが故郷を捨てる決断をするのは、とてつもない勇気がいることだったんだと思います。
そんな決断をしたものの、やっぱり故郷へ想いを馳せてしまうジーンの心情がとてもせつない。

故郷が嫌いだったわけじゃないんですよね。
家族が嫌いだったわけでもなく…
ただアーミッシュという生き方と決別をしたジーン。
トレヴァーとの生活も順調で、それなりに楽しんでいるのに、ジーンの心には故郷への恋しさがいつも付きまとっていて、忘れることはできないんです。
そしてそんな美しい故郷を持つジーンのことを、どこか羨ましく思っているトレヴァーの心も複雑で…
トレヴァーにとっての故郷も、単純ではないんですよね。
血の繋がらない家族との暮らしに疎外感を感じていたトレヴァーだけど、そこには確かに愛に溢れていたことを思い返して涙するんです。
自分の存在がなんだかあやふやな2人が、自然と惹かれていったのもなんだか頷けます。
2人は愛に溢れた環境で育ったにも関わらず、今孤独に生きているんですよね。
自分が何者なのか、いつも疑問を感じながら生きているような2人。

お互いの存在を証明するために、2人は愛し合うのかもしれません。
そして吾妻香夜先生の描く画力の高さも「親愛なるジーンへ」をさらに面白くさせている気がします!
すごく安定感のある絵柄で、登場人物たちがすごくイキイキしてるんですよね!
とくにジーンの美しさが本当にステキで…生命力のある若者の美しさがにじみ出ていて、すごく魅力的なんです。
エロシーンもしっかりと描かれていて、とくにセックスの最中でトレヴァーの眼鏡がずれていく所が私的にはすごく興奮しました!
トレヴァーの興奮が伝わってきますよね。
恋愛だけじゃなく、家族や故郷へのノスタルジーも描かれている「親愛なるジーンへ」は、ただのBL漫画という枠には収まらない作品な気がします。
「親愛なるジーンへ」1巻の続きは?
「親愛なるジーンへ」1巻の続編はすでに発売されています。
2巻で物語は完結となり、トレヴァーとジーンの関係が終着します。
1巻で体をつなげたトレヴァーとジーン。
2人の関係はこれからどんな変化を遂げるんでしょうか。
ジーンの故郷への想いはこれからもジーンの心に付きまとうんでしょうか?
大学に通い出し、バイトも始めて、順調に生活を送るジーンの今後の進路とは?
愛し合う2人の生活は幸せなものなんだろうなと思うので、ラブラブなシーンもたくさん見たいです!
2人がどんな結末を迎えるのかドキドキします…!
幸せになってもらいたいけど…
でも甥っ子ジーンがトレヴァーの元へ訪れた際に、ジーンの姿はないですよね。

そこがとっても不安なんですよね!
トレヴァーとジーンは別れてしまうのか…!?
何があったのか…めちゃくちゃ気になります!!!

