2016年10月17日
映画館でバイトとして働く、元AV男優の澄川螢、35歳、フリーター。
澄んだ川に蛍だなんてうすら寒い冗談の様な名前に、
”綺麗”なんて言葉とは相容れない至極どうしようもなく堕ちた人生。
毎週日曜日のレイトショー、螢の働く映画館にやって来ては螢のことを
「ほたるさん」と呼びやたらと懐いてくる一回りも年下の男・岡崎準太に”綺麗”だの”一目惚れ”だのと言われつい口を衝いて出た言葉…。
「僕ね、今の映画館でバイトする前はゲイビに出てたの バリネコでハードなやつ」
※「はきだめと鶴」表紙裏あらすじ参照
キタハラリイ先生の描くしっとりせつないBL漫画、「はきだめと鶴」を読みました!
「はきだめと鶴」のざっくりあらすじ
主人公の螢が本当に、影のある美人!って感じで、見てるだけでうっとりしちゃう受け。
35歳には見えない美しさがステキー!
対して攻めの準太は23歳のまっとうに生きてきた社会人。
明るい日向で育ってきたような準太は、まっすぐに螢に想いを寄せてるんです。
いろんなものを背負っていそうな螢の影のある美しさに、準太は惹かれてしまったんですかね。
それにしても螢の人生が暗いのなんのって…本当つらすぎる…
螢が自分で選んできた道ではあるけど、でもその道を選んでしまった理由も頷けるものばかりで、
自分ひとりですべて抱えるには重すぎるような出来事が多くて、螢が自然と潰れてしまったのも仕方のない話。
一回りも年下の準太に、螢の全てを受け止めることはできるのか!?
そこがこの「はきだめと鶴」の面白さのポイントになっています。
家出→ホスト→愛人→AV男優→フリーター
という、なんとも暗すぎる螢の人生。
美しい見た目だったからこそこんなことになってしまったのか?
ここからは「はきだめと鶴」の詳しい感想にはいりますねー!
※ネタバレ含みますのでご注意を。
ツライ過去を持つ螢と、それを救いたい準太※ここからはネタバレ注意

澄川螢(すみかわ けい)
「はきだめと鶴」の主人公はこんなキレイな名前が印象的な青年。
映画館でアルバイトをする螢は、35歳にしてフリーター。
まわりのアルバイトスタッフからは少し浮いた謎の存在になっていて、螢の本当の過去を知る人はいないんです。
坦々と映画館でのアルバイトの仕事をしている螢には、毎週日曜のレイトショーで必ず声をかけてくる、ワンコ系男子が。
明るくて自由そうな岡崎準太は、毎週映画を見に来ているというよりは螢に会いに来ている感じ。
以前映画館でマフラーを忘れて帰りそうになった準太に、マフラーを持って走って渡しに来てくれた螢。
それ以前から螢のことが気になっていた準太はこれを機に螢に頻繁に話しかけるように。
映画館のスタッフには懐かれているなんて言われている螢だけど、まんざらでもない感じ。
そんなある日、準太は螢をお茶に誘うことに。
螢に向かって、「一番綺麗な人」と言う準太に、少し苛立ちを覚える螢。
だって螢にはいろんなしこりを抱えていて、綺麗とは程遠い汚いものを見てきて、汚いものにまみれた経験があるのに、
何にも知らずに表面だけで「綺麗」だなんて、ほんと冗談やめて、って感じなんですよね。
見た目の綺麗さだけを見て、自分に期待をしている準太が、早く自分の本当に姿を見て幻滅して軽蔑したらいい、
と螢はいきなり準太をホテルに誘うんです。
かなり自虐的な螢…
どうせいつか自分を見捨てるなら、最初から好きになんてならないでほしい、
という螢のせつない感情が感じられる…!
ですがそんな思惑とはうらはらに、準太は螢に逆にのめり込んでしまうんです!!
男と寝ることに慣れている螢に対しても「やっぱり、すごく綺麗だ」と言う準太。

もう惚れまくっちゃってます…(;´Д`)
体の関係が続く二人なんですが、日に日に螢にのめり込む準太。
まんざらでもなさそうな、ちょっと嬉しそうな螢の顔がまたたまらなく可愛いんですよね~!!
ゆっくりと近づいていくかに思えたんですが、ある日螢の前に昔一緒に暮らしていたAV会社の常務・大野が現れるんです。
2人を見てどういう関係か、過去に何があったのか問い詰める準太に、
螢は「君に背負えるものなんて1つもない」と突き放すような言葉をぶつけてしまうんです。
幸せな人生を歩んできた準太にとって、自分は手に入らないからほしいだけの存在なんだと言う螢に、
何も言い返せない準太。
若い準太にとって、螢を大切に思う気持ちが恋なのかただの独占欲なのかも自分でわからないんですよね。

そりゃそうだよねー
まだ若いもん…
助けたいと願っても、自分ではどうにもできないかもしれない、と感じてしまう準太がまたせつない。
螢が堕ちていった原因は?

準太に向かってひどい言葉を言って、映画館へももう来ないでほしいと伝えたものの、その後もずっと準太の存在が頭から離れない螢。
もう会うことはないかもしれない、会わない方がいいのだと自分に言い聞かせるように暮らしていく蛍。
知らないうちに、随分と準太に惹かれていたんですよね。
準太は初めは会うのを我慢していたものの、やっぱりどうしても耐えられなくなって螢に会いに来るんです。
自分は今まで何でも手に入っていたわけじゃない、手に入らないものを欲しがったりしなかっただけだと打ち明ける準太。
でも螢だけは手に入らないとわかっていてもどうしても欲しいと思ってしまう、自分の感情がつらくてたまらないと言うんです。

こんな純粋な告白ってない…!( *´艸`)
そんな準太を見て嬉しさが表情に出てしまってる螢。
でも、そんなまっすぐで純粋な準太の気持ちをわかっていても、まだ心を許し切れていないのは、過去の度重なるツライ経験があったからなんです。
10代の頃、親と折り合いがつかず家出した螢は、ホストとして生きていたのですが、飲めないお酒に身も心もボロボロに。
そんな中出会ったのが藤場組の組長・藤場尭。
螢はそこから数年藤場の愛人として生きることに。
それは螢にとって愛人という契約なのではなく、純粋な愛で、さらに子供だった螢は疑うこともせずにひたすら藤場に愛されるだけの日々を送っていたんです。
でも時が経ち、藤場の足が遠のくようになり、最後には突然連れ出された場所で数人の男たちに無理矢理AVを撮らされ、自分が捨てられたことに気が付く。
いつの間にか抱えていた借金を返すために、自分を売り続け、どん底で生きていくしかなくなる螢。
そして今、フリーターとしてなんとか暮らしている螢は、自分の選んだ道に後悔はしていないと準太に告げるんです。
この重すぎる過去は、誰かに抱えてほしいなんて思っていない、むしろ準太には抱えてほしくないと、
螢は準太のそばから離れることに。
離れていく螢をすぐに追いかけられない準太ですが、
23歳のまっとうな人生を歩んできた人間には当たり前の反応なんですよね…
少しずつ距離を縮めて、過去を何もかも忘れて幸せになれたらいいのに。
どうしてもそんな簡単にはいかないのが本当にツライ…!
螢が生きていく価値を見出すのは?

準太のそばを離れた螢は、もう一つ気がかりになっていた知らない電話番号からの着信に、初めて出るんです。
ずっと鳴っていた電話の主は、藤場組長の元で働いていた波柴。
組長が引退したことを告げようとずっと着信を入れていた波柴は「会いたいか」と螢に尋ねます。
そもそも藤場が螢を捨てたのは、実は波柴が仕組んだことで、根も葉もない話を藤場に吹き込んだからだったんです。
自分を陥れた波柴も、引退した藤場も、もうすべてを自分と切り離すことを決意した螢。
怒りもせず、会いたいとも言わない。
そんな決意ができたのも、準太に出会って、過去と新しい自分への区切りがついたからなのかな?と読んでいて思いました。
そして螢を陥れた波柴ですが、これがまた、かなり歪んだ愛だったんですよね…!
螢は最後まで知る由もないのですが、波柴にとって螢は、捕まえたくてたまらないけど決して捕まえることのできない、暗闇で光る蛍のようなただ一つの光だったんです。
誰にも打ち明けることができない密かな想いがひどく歪んで螢をどん底へと突き落としてしまうんですが、
それも含めて波柴も生涯苦しみ続けるんだろうなと思います…
そして、また誰かを愛することもない、映画館のアルバイト生活に戻った螢なんですが、日常の端々に準太を思い出してしまっているところがかなしい…!
そしてまた現れるAV会社の大野。ほんとしつこいなこいつは…!
軽い感じで螢に言い寄る大野ですが、でも、なんだかんだでこいつも真剣に螢のことを想っている気がしなくもない…
あ、ただの私の希望的観測ですが(笑)
しつこく付きまとう螢を助けるため、突然現れた準太!!!!

おおおよかった忠犬登場で!!!(笑)
準太も準太で、どうしても螢を忘れることができず、顔を見るだけでもいいからと待ち伏せしていたんですよね。
自分のボロアパートへ準太を招いた螢は、先日話した自分の過去よりもっと、本当の心を打ち明けることを決意します。
自分が藤場にとってちっぽけな存在であっても、本当に愛していて、同時にその時間は苦しくて仕方なかったこと。
今は自分のためだけに生きていることに満足していること。
心の一番やわらかい部分を打ち明けた螢に、やっぱり準太は純粋にまっすぐに
「やっぱり俺は好きです」
と伝えるんです。
一人で生きていくことをどこか覚悟していた螢は、そんな準太の言葉にやっぱり誰かのために生きていたいと強く感じるんですよね…
どんなツライ思いをしても、何度だって人は人を好きになってしまうんですよね…!!
ここで「はきだめと鶴」の題名の由来にも触れられます。螢の純粋な心がぐっとくる!
「はきだめと鶴」はじんわりと泣けるラストでした…!!!
「はきだめと鶴」のドラマCDや続編は?描き下ろし漫画も!
かなり坦々としたシリアスなBL漫画だったので、少し好き嫌いが分かれるかも?
でも絵が綺麗で、線の細さがとっても美しい!
綺麗な男を描かせたらキタハラリイ先生は抜群ですね!!

大人っぽいBL漫画が好きな私ですが、「はきだめと鶴」は私には少しシリアスすぎた気もしました。
あまりにも過去が王道な暗黒話すぎて(笑)
シリアスBLに目がない!という方には超おすすめの漫画ですよ!

シリアスBLは暗くなっちゃう…という方にはもちろんおすすめできません(゚∀゚)
あ、でもエロシーンはわりと多い方だと思います!
がっつりエロですが絵が綺麗なので下品じゃないのがイイ。
これまた螢が最高に魅力的に描かれているのが印象的!
「はきだめと鶴」の最後には描き下ろしのオマケ漫画がもちろん収録されています。
こちらは二人が正式に付き合い始めてからのほのぼのストーリー。
本編ではほぼツンツンしていた螢が、ちょっとだけ見せるデレがたまらない…!(・´з`・)超かわいい!
そして!「はきだめと鶴」はドラマCDも発売されています!
声優キャストは
- 澄川螢:平川大輔
- 岡崎準太:古川慎
- 波柴宗孝:川原慶久
- 大野延彦:新垣樽助
平川大輔さん…!お…おーらんどぶるーむ…!!!!(;゚Д゚)
超ステキな声優さんですよね!!!!
そしてさらに「はきだめと鶴」ドラマCDの初回限定版には5年後の螢と準太のエピソードが入っているとのこと…!

えええそれは気になる…
まだ聞いてないので、これは要チェックです!
そして「はきだめと鶴」続編ですが、今のところ予定はないみたいです。
まぁたしかに、このシリアスのノリで続きが始まるのは絶対嫌ですもんね!
せっかく幸せになって終わったんだから、もう死ぬまで螢には超幸せな生活を送っていってほしいものです!!
もし続編があるのなら、それはもうほのぼのラブラブな内容にしていただきたいですね…!(゚∀゚)

